ユーザープロフィール
- 函館市は北海道の玄関口で、道南の中心都市であり、札幌、旭川に 次ぐ第3の都市。津軽海峡から太平洋まで続く長い海岸線を持つ。
- 平成4~6年度に地域防災無線を整備したが、周波数の使用期限が 平成 23 年 5 月末に迫ったため、デジタルMCA無線を導入。
MCA導入の決め手
- 低廉な導入費用、多数の自治体での実績
- 通信エリアが広く(既設地域防災無線のエリア外のうち一部地域でも通信可能)、電話接続装置により衛星電話を含む内・外線 との相互通信(注)が可能な点も考慮
(注)MCAエリア外の支所や外部部局等には衛星電話を配備しているが、MCA指令局を構内交換機(PBX)に接続する ことでこれらの衛星電話と直接、通信が可能。 他部署の固定電話や職員の携帯電話へも連絡が可能
利用状況
- 災害発生時には、災害対策本部を中心に、支所、外部部局(消防、水道、病院、交通等)、防災関係機関(自衛隊、海上保安部、警察署等)、生活関連機関(電気、ガス、電話、医師会)などとの通信を確保。
- 平常時には、災害訓練は勿論、総務課職員の外出時の連絡や、市総務部防災担当と支所等との事務連 絡、さらに下水道の維持管理業務、清掃やリサイクルの指導などにも活用し、操作の習熟も期待。
[インタビュー]函館市総務部総務課防災担当者様の声
既存設備の状況
平成4年度から3年かけて、災害が発生し一般の通信手段が途絶えた場合を想定して (平成5年北海道南西沖地震の時は途絶えなかったものの不安がありました。)、市の各部局や防災関連機関、生活関連機関との通信を確保するために、地域防災無線を整備しました。その地域防災無線も老朽化が進み、周波数の使用期限が23年5月31日と迫っていたため、新しいデジタル無線システムを検討していました。
検討の経緯
MCA無線のことを地元の無線機器販売店から聞き、今までのMCA無線の自治体の導入実績と、260Mデジタル防災無線より低予算で導入できることにより、MCAシステムを選択し導入しました。
職員の反響
以前の地域防災無線と比べて、通信可能になるまでのボタン操作回数が減り、使い易くなりました。無線機をほとんど使わない職員でも、何かある時には使えるようになったと思います。以前の地域防災無線と比較して、雑音がなく音質などが良好です。また、MCAは函館山に中継局があるため、地域防災無線よりエリア(旧戸井町の一部)が広くなりました。
防災以外の利用
一部、携帯機を必要な部に配備し、下水道維持管理業務、清掃やリサイクル指導業務などでも活用しています。
将来計画他
防災体制の一層の強化を図るために、住民に拡声器で警報等を伝える同報系防災無線への活用を検討する予定です。
函館市「防災計画」 【総則編(第1章 総則)(抜粋)】
第2節 函館市の防災ビジョン
函館市は、これまでの大火をはじめ、地震や洪水等により、度重なる災害に見まわれてきたが、先人達の英知により防火帯の整備や河川の改修、下水道の整備、消防力の強化等に取り組み、“災害に強いまちづくり”に努めてきたところである。 ここに、今後とも“より災害に強いまちづくり”を推進するため、対策の基本方針となる「防災ビジョン」を定め、市、防災関係機関および市民等がソフト・ハードの両面から種々の防災対策に取り組んでいくこととする。
【防災ビジョン】
- 「市民と行政等が一体となった防災体制の確立」
- 「都市防災化事業の推進」
- 「広域応援体制の確立」
- 「市民と行政等が一体となった防災体制の確立」
地震などの異常な自然現象は発生そのものを防ぐことはできないが、その被害の大きさは、防災対応のあり方によって 大きく異なる。このことから、被害を最小限にするため、市、防災関係機関、市民、自主防災組織および事業所が連携を図り、一体となった防災体制の確立を目指す。
- 「都市防災化事業の推進」
地震や洪水等による被害を未然に、または最小限に防ぐためには、施設整備の推進が重要である。 このことから、市および防災関係機関等は、恒久的に災害に強いまちづくりを目指し、河川整備や海岸保全などの国土保全事業を計画的に推進するとともに、土地区画整理事業や市街地再開発事業、広幅員道路の整備、建物の不燃化等の防 災事業を推進していく。
- 「広域応援体制の確立」
地震などによる大規模な災害が発生したときは、消化活動、救助・救出活動等において、一市町村レベルで対応しきれ ない事態が考えられる。このことから、行政相互はもちろん、民間等との協定締結により、災害時の広域的な応援体制を 確立し、防災力の向上を目指す。
また、市は、南北海道の中核都市として、防災に関するリーダーシップを発揮していく。(以下略)
※掲載内容は取材当時のものです(作成日 平成23年3月3日)